座りっぱなしで腰がつらい人へ|仕事中にできる対策と環境づくり

生活編

「朝からパソコンに向かっていると、だんだん腰が重くなる」
「夕方になると腰がつらくて、椅子から立ち上がるのもおっくうになる」

このような悩みはありませんか?

デスクワークや座り仕事が続くと、腰まわりに不快感を覚えることがあります。ただし、腰痛の原因は一つではありません。姿勢だけでなく、同じ姿勢を続ける時間、仕事環境、身体活動、睡眠、ストレスなど、さまざまな要因が関係する場合があります。

大切なのは、無理に背筋を伸ばし続けることではなく、自分に合った作業環境を整え、同じ姿勢が長く続かないように工夫することです。

この記事では、作業療法士の視点から、仕事中に取り入れやすい腰痛対策と環境づくりを解説します。

※この記事は一般的な健康情報です。腰痛の原因を診断するものではありません。症状が強い場合や気になる症状がある場合は、医療機関に相談してください。

1.座りっぱなしで腰がつらくなるのはなぜ?

同じ姿勢が長く続いている

座っているときは、立っているときとは身体の使い方が変わります。長時間同じ姿勢を続けると、腰や背中まわりに不快感やこわばりを感じることがあります。

ただし、特定の姿勢だけが腰痛の原因になるとは限りません。背筋を伸ばしていても、前かがみでも、同じ姿勢を長く続けてつらくなる人はいます。

大切なのは、理想的な姿勢を一つに決めて固定することではなく、身体の状態に合わせて姿勢を変えられることです。

椅子や机が身体に合っていない

椅子が高すぎると足が床につきにくくなり、低すぎると机との高さが合わず、前かがみになりやすくなることがあります。

また、画面が低い位置にある、キーボードが遠い、肘を支えられないといった環境も、無理な姿勢につながる場合があります。

椅子や机を買い替える前に、まずは今の環境で調整できる部分を探してみましょう。

仕事中に身体を動かす機会が少ない

集中して作業していると、気づけば数時間座り続けていた、ということもあるでしょう。

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、座りっぱなしの時間が長くなりすぎないように注意することが勧められています。

腰がつらいときは、姿勢だけでなく、仕事中に身体を動かす機会を確保することも考えてみましょう。

2.仕事中に見直したい座り姿勢と作業環境

① 足裏が床につく高さに調整する

まず確認したいのは、足裏が床に自然につくかどうかです。

足が浮いてしまう場合は、椅子の高さを調整するか、安定した足台を利用する方法があります。

ただし、椅子を下げたことで机が高くなり、肩がすくんでしまうこともあります。足元だけでなく、机との高さのバランスも確認しましょう。

② 背もたれを活用する

背もたれは、身体を預けて休むためにも役立ちます。

腰を反らせて胸を張り続ける必要はありません。背もたれを使いながら、呼吸しやすく、無理なく作業できる位置を探してみてください。

腰の後ろに隙間ができて気になる場合は、タオルなどを軽く丸めて当てる方法もあります。厚く詰め込みすぎず、違和感がないか確認しましょう。

③ 画面とキーボードの位置を調整する

パソコン作業では、画面をのぞき込むような姿勢になっていないか確認します。

  • 画面は、首を大きく前に傾けずに見られる位置に置く
  • キーボードとマウスは、肩をすくめず操作できる距離に置く
  • 肘や前腕を必要に応じて机や肘掛けで支える
  • ノートパソコンで長時間作業する場合は、外付けキーボードやマウスの利用も検討する

すべてを一度に整える必要はありません。まずは、作業中に最もつらさを感じる部分から見直してみましょう。

座るときの腰まわりの隙間が気になる方へ

椅子の高さや座り方を調整しても腰まわりに違和感がある場合は、ランバーサポートなどの使用を検討する方法もあります。

ただし、すべての人に合うわけではありません。まずはタオルなどで当てる位置や厚みを試し、違和感がないか確認してみましょう。

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④ 同じ姿勢を正解にしない

「正しい姿勢を維持しなければ」と考えすぎると、かえって身体を緊張させてしまうことがあります。

背もたれにもたれる、少し座り直す、立ち上がるなど、状況に合わせて姿勢を変えてみましょう。

腰痛対策では、特定の姿勢を完璧に保つことよりも、無理なく姿勢を変えられる環境をつくることが大切です。

3.休憩時間にできる腰痛対策

こまめに座位を中断する

仕事に集中すると、休憩を忘れてしまうことがあります。

そのような場合は、パソコンやスマートフォンのリマインダーを使い、定期的に姿勢を変えるきっかけをつくってみましょう。

例えば、次のような行動です。

  • 印刷物を取りに行く
  • 飲み物を用意する
  • トイレや給湯室まで歩く
  • 立った状態でできる作業に切り替える
  • その場で足踏みをする

厚生労働省の資料では、座りっぱなしを中断する方法として、仕事中に身体を動かすことが紹介されています。まずは無理のない範囲で取り入れてみましょう。

短い時間でも身体を動かす

休憩のたびに本格的なストレッチをする必要はありません。

痛みが強くならない範囲で、立ち上がる、ゆっくり歩く、肩や股関節を軽く動かすなど、自分が取り組みやすい方法を選びましょう。

腰を強く反らす、勢いをつけてひねるなどの動作は、痛みが出る場合には避けてください。

運動やストレッチをしたことで痛みが強まる場合は中止し、症状に応じて専門家に相談しましょう。

仕事の合間に動く仕組みをつくる

忙しい人ほど、気合いだけで休憩を続けるのは難しいものです。

そこで、行動と休憩を組み合わせてみましょう。

例えば、メールを一定数処理したら立ち上がる、オンライン会議の終了後に少し歩く、昼食後に短時間散歩するといった方法です。

最初から完璧な習慣を目指す必要はありません。続けやすいタイミングを一つ決めるところから始めてみましょう。

4.腰痛対策グッズは何を選べばよい?

腰痛対策グッズは、購入すれば必ず痛みが改善するというものではありません。身体や作業環境に合うかどうかを基準に選びましょう。

腰当て・ランバーサポート

腰の後ろに当てて、座ったときの隙間や違和感を調整するための用品です。

選ぶときは、次の点を確認しましょう。

  • 厚みや形状を調整できるか
  • 座ったときに腰が反りすぎないか
  • 長時間使っても圧迫感がないか
  • 椅子に安定して取り付けられるか

まずはタオルなどで位置や厚みを試し、必要性を感じてから購入する方法もあります。


フットレスト

椅子を机に合わせると足が床につかなくなる場合は、足台が役立つことがあります。

足裏を安定して置けること、使用中にずれにくいこと、椅子の下に収まることなどを確認しましょう。


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椅子・デスク環境

椅子や机の買い替えを検討する場合は、価格や見た目だけでなく、座面の高さ、背もたれ、肘掛け、机との相性を確認します。

高価な椅子がすべての人に合うわけではありません。可能であれば、試座して身体に合うかを確かめることをおすすめします。

商品選びのポイントは、腰痛を治すとうたう商品を探すことではなく、自分が無理なく作業できる環境を整えることです。


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5.こんな腰痛は医療機関に相談しよう

腰痛は、筋肉や関節などに関係するものだけでなく、神経や内臓などの病気が関係している場合もあります。

次のような場合は、自己判断だけで対処を続けないようにしましょう。

早めに医療機関へ相談したい症状

  • 痛みが長引いている、または繰り返している
  • 日常生活や睡眠に支障が出ている
  • 発熱や体調不良を伴う
  • 原因が思い当たらない体重減少がある
  • 安静にしていても痛みが続く、夜間に痛みが強い
  • 足のしびれや筋力低下がある

これらの症状があるからといって、必ず重大な病気があるとは限りません。ただし、医師による評価が必要なことがあります。

緊急の対応が必要な症状

腰痛に加えて、次のような症状が新たに現れた場合は、救急外来の受診など、直ちに医療機関での評価を受けてください。

  • 尿が出にくい、尿や便を自分でコントロールできない
  • 股の間や肛門周辺の感覚が鈍くなった
  • 両脚に強いしびれや脱力がある
  • 急に歩くことが難しくなった

これらは、神経が強く圧迫されるなど、緊急対応が必要な病気のサインである可能性があります。

6.座りっぱなしによる腰のつらさを減らすために、今日からできること

ここまで紹介した内容を、まずは次の3つに絞ってみましょう。

  1. 作業環境を整える: 足裏が安定してつき、無理なく画面を見られる位置に調整する。
  2. 同じ姿勢を続けない: 仕事の区切りに立ち上がる、歩く、座り直すなどの行動を取り入れる。
  3. 痛みを我慢しすぎない: 症状が続く、悪化する、しびれなどを伴う場合は医療機関に相談する。

すべてを一度に実践する必要はありません。まずは自分が続けやすい工夫を一つ選び、仕事中に試してみてください。

まとめ

座りっぱなしで腰がつらくなる場合、姿勢だけでなく、作業環境や身体を動かす機会など、複数の要因を見直すことが大切です。

椅子や机を調整する、背もたれを活用する、こまめに姿勢を変えるなど、できることから取り組んでみましょう。

腰痛対策の目的は、理想的な姿勢を完璧に保つことではありません。自分の身体に合った環境を整え、無理なく仕事と日常生活を続けられるようにすることです。

熱中リハビリ研究所では、腰痛予防や身体活動、作業療法の視点から、日常生活をより快適にする工夫を紹介していきます。

参考資料

日本整形外科学会「腰痛」:腰痛の原因には、脊椎だけでなく内臓などに由来するものもあります。

厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」

NHS「Back pain」:受診を考えたい症状や緊急性の高い症状について

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