認知症を発症すると、さまざまな症状が見られるようになります。よくイメージされるのが、物忘れが激しくなった、最近ボケてきたな等があります。実はその症状には、中核症状と周辺症状に分けられています。ここでは、医療従事者や医療従事者を目指している方や身内が認知症になってしまって、認知症のことを少しでも理解したいという方向けへの解説をしていきます。
認知症ってどんなもの?
認知症は、進行性のもので物忘れや妄想などたくさんの症状があります。それらもタイプによっても異なり大きなタイプ分けは以下に紹介しています。
認知症には、大きく4つのタイプがあります。
※それぞれの認知症については、タップすると確認できます。
認知症の中核症状
認知症の中核症状は,現代の医学では治療が困難とされています。認知症のであれば必ず伴う症状であり,認知症の診断の要となる症状です。
その症状には大きく4つの症状があります
記憶障害
記憶障害は認知症の中心となる症状です。大きく前向性健忘※1と逆行性健忘※2に分けられます。
記憶障害を生じる認知症の代表はアルツハイマー型認知症で、その障害の中心は前向健忘です。進行すれば数分前の出来事も全く覚えていないほど重篤になります。
また,アルツハイマー型認知症ではエピソード記憶の障害起こりやすく,前頭側頭型認知症では意味記憶の障害が起こりやすいとされています。
※1新しい事実や事件を覚えることの障害
※2以前の経験の再生ができなくなる障害
見当識障害
見当識とは,時間に関することや場所に関することなどをいいます。時間に関する見当識障害は病気の早期から見られます。日時や曜日が曖昧になってきます。人に関する見当識障害は,病気が進行し重篤になってから見られます。
遂行機能障害
遂行機能とは,目的に合わせて手順を考えたり,段取りをつけたりする能力のことをいいます。
例えば,料理で考えるとカレーを作るために材料を用意してそれも切って炒めてなど,カレーを作る計画を立て,段取り,調理といった目的に合わせた行動を行うことができなくなる症状が見られるようになります。
高次脳機能障害
高次脳機能障害にはさまざまなものがあります。失語,失行,失認などの症状が現れ,認知症の対応によっても違いが見られます。
この認知症には見られないということはありませんが,人によっても異なります。特に脳血管性の病気により高次脳機能障害が発現する可能性が高く,その後脳血管性認知症の診断を受ける場合もあります。
認知症の周辺症状(BPSD)
周辺症状は,種々の関わりによって症状を改善することが可能とされています。
認知症があるからといって必ずしも現れる症状ではありません。認知症の進行に伴い出現したり,消失したりします。
代表的な精神症状として,妄想・幻覚,抑うつ気分,睡眠障害,不安,誤認などがあります。行動面の異常として攻撃,興奮,徘徊,不穏などがあります。これらは,出現頻度と介助者の負担の程度によって3群に分けられています。
また、周辺症状は認知症のタイプによって出現する症状が異なったりもします。どのタイプに起こりやすいかなども書いていますでチェックしてみましょう!
アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症タップすると記事が表示されます。
中核症状と周辺症状の違い
中核症状は,認知症の診断にとても重要な症状です。脳の器質的な症状であり現在の医療では治療が困難とされている症状です。それに対して,周辺症状は(BPSD)は精神症状が主であることが多く、対象者との関わりによって症状が改善することが可能です。
改善が困難か改善が可能なのかがとても大きな違いでもあります。
まとめ
こうしてみると、中核症状と周辺症状はかなり違うことがわかります。認知症のタイプによっても症状の出現や人によって異なります。
医療従事者の中で、どっちがどっちだったかな?となるかもいらっしゃると思うので、この記事を復習にお使いください。
これから、医療従事者を目指す方や家族に認知症と診断された方がいて病気の症状などを詳しく知りたいという方の参考になればと思います。
参考引用文献
認知症の作業療法 エビデンスとナラティブの接点に向けて
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