
療育におけるパソコン操作の有効性について
子どもが上手に箸を使えない、手指を使った細かい作業が苦手といった手先の不器用が気なるということをよく耳にします。
手先の器用さ、つまり巧緻性を高めていく必要があります。
巧緻動作には様々なものがありますが、今回はパソコン操作特にキーボードとマウスの使用が療育上どんな効果があるのか話していきたいと思います。
巧緻性とは何か?

巧緻性とは、手先の器用さのことを言います。手先の器用さは成長する中でとても重要な要素です。
巧緻性を養うことで、脳や認知機能の成長にも繋がりますし、日常生活での“できること”の幅が広がります。
巧緻動作の重要性
子ども発達において、身体を使った大きな運動(粗大運動)から指先を使ったより細かな作業(微細運動)の順に発達していきます。
そのため、微細運動つまり巧緻性を高めることで身体をどのようにコントロールすればよいのかがわかるようになり、身体の細かい部分をコントロールできるようになります。
巧緻性と目の関係
巧緻性を養う上で最も重要になってくるのが、視覚情報です。細かな作業を行う上で“目”がとても重要になってきます。
子どもの成長過程で、目と手の協応性や協調性が上手にできているかで巧緻性に深く関わってきます。
目で見ながら鉛筆の操作を行う、紙を持ちながらはさみを使用するなど手と目がうまく連動していないとうまく行うことができません。
また、ここでの“目”は視力のことではありません。目と手の協応性や協調性は、何かを使用したり操作したりする際の“眼球運動“のことを指します。
手の動きや操作しているものをちゃんと目で追えているかが重要になってきます。
パソコン操作(キーボードとマウス)で協調性を養う
巧緻性を向上させる遊びにさまざまなものがあります。
・折り紙
・積み木
・粘土 など
その中で、現在では欠かせないパソコン操作に絞って話していきたいと思います。
先程、目と手の協調性を養う上で眼球運動が重要であると言いました。
パソコン操作において、キーボードを使用して文字などを入力する際、ブラインドタッチをしない限り、今どのキーを押しているのか目で追う必要があります。その動作が眼球運動を促すことの一つでもあります。
また、キーを打つ感覚や各指を操作することで、脳の関連器官が活性化し巧緻性を向上させるために不可欠な目と手の協応性や協調性を養うことにもつながります。
更に、キーボードだけではなくマウスの操作でも同じことが言えます。
マウスを動かすことで、任意の場所までカーソルを持って行くという行為が眼球運動を促し、どの程度動かせば任意の場所までカーソルを持って行けるのかなどの身体をコントロールすることにもつながります。
大阪医科薬科大学の奥村氏の研究によると、視覚の問題によって学習における見る活動がうまく出来ず、読み書き等の学習で苦手さが出ること、視機能の問題に関するVY(ビジョントレーニング)により視覚が関連する学習の問題が改善することが示されていると言及しています。
まとめ
子どもの成長に巧緻性の向上はとても重要な要素の一つです。指先を使った訓練や遊びはたくさんあり、反復することで改善していく事もありますがそこには眼球運動がとても重要であることがわかります。
視力が悪いということではなく、しっかり指先を目で追えているのかが巧緻性の向上に大きく関わっています。
養うことで、同時に二つのことができるようになりますし、巧緻性の向上によって身体のコントロールも促されていきます。
子どもの成長や日常生活には欠かせない巧緻動作の向上に、指先を動かす訓練や遊びの中にキーボードやマウスの操作のような眼球運動を促す様子を取り入れるのも良いかもしれません。
参考・引用文献
ビジョントレーニングの発達障害児への活用






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